top of page

足あと

ある夜、わたしは夢を見た

わたしは、主とともになぎさを歩いていた

暗い夜空に

これまでの人生がつぎつぎ映し出された

どの光景にも

二組の足あとが砂浜にくっきりときざまれていた

一つはわたし自身の足あと

もう一つは、主の足あとだった

これまでの人生の最後の光景が映し出されたとき

わたしは砂に残っている足あとを顧みた

そうして、気づいたのは

人生のいくつかの場所に、足あとが一組しかないことだった

それは、わたしの人生のなかでもっともつらく、悲しいときだった

これを見て、わたしは心惑わせ、主にたずねた

「主よ

私があなたについて行くと決めたとき

あなたは、いつもわたしと語り合い

ともに歩んであげようと言われました

それなのに、わたしがもっとも辛く淋しかったときには

一組の足あとしかなかったのです

いちばんあなたを必要としていたとき

あなたはどうして私を一人ぼっちになさったのですか

私にはわかりません」

それに対して、主はささやかれた

「わたしの大事な子よ

わたしは、おまえを愛している

そして決して、一人にはしない

おまえが試練に遭い、苦しんでいたとき

一人分の足あとしか見えなかったという、そんなとき

わたしが、おまえを背負っていた」


マーガレット・パワーズ

「祈りの言葉」青山圭秀 著

 -Ayurveda salon-

  Arunachala アルナチャラ

bottom of page