ありのままのいのち
遠藤滋
わがいのち あまさず活かすその姿 世人に見えぬ世界なるべし
われにとり そは差別なるといふことを いかに伝へむ介助の君に
おのれにて おのがいのちを差別する そにきづかずや世のおほかたは
善意もて よかれと思ひすることも われ示さずば「地獄への道」
高校へ 通ふ途上に子らのゐて「悪いことするとああなるんだよ」
ありのままの いのち活かさむ たとひそが いかなる姿とりてゐるとも
思ふこと 世に言挙げむ勇気もて 世間体などあへて気にせず
差異を見ず 同じことをし求むるは これぞまさしく差別ならずや
そがいのち 引き受くるとき 汝が姿 身ぬちからなる光に満つる
身ぬちより かがやく光 そのまへに 世の人々もなにも言へざり
世の人の なにと言ふとも いのちなる 光をもちて なにとでもせむ
いのちには 終わる時あり それ故に 互ひの〝今〟をいかしあひたし
『あけび』令和二年六月号~五人詠より~