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アーユルヴェーダの哲学


アーユルヴェーダの理論では、健康は自分自身の調和の結果と考えています。健康であるには、自分が存在している目的、思考、感情、そして実際の行動が調和していなくてはなりません。あなたの目的地が平和に暮らすことであったとしても、恐怖感があったり、感情面で否定的であると、体はそれを知らせるために、楽でない(dis否ーease楽)、病気という状態を作り出します。病気により、自分の中に潜んでいた治療すべき局面が明らかになるので、アーユルヴェーダでは、病気を体の信号だと考えています。健康とは、自分のもつあらゆる局面が調和している状態であり、この内面の調和とは、家族、友人、同僚、社会的、自然との調和も包含しているものです。


アーユルヴェーダの医者はよく、初めの質問で、「あなたの人生の目的は何ですか?」「それを成し遂げるために仕事や活動をしていますか?」「あなたとそれらとの関係性はどうなっていますか?」などと尋ねます。これらの面で調和が保たれているとき、身体的治療はずっと簡単だからです。


アーユルヴェーダの目的は、死と病気からの真の解放です。それは、途切れることのない、肉体的、精神的、霊的幸福感や充足感です。驚くべきことに、アーユルヴェーダの哲学では、喜びも人生の目的のひとつです。しかし、そればかりを追求しすぎると、私たちは喜びを感ずる能力を失ってしまうでしょう。そして病気は、夢中になりすぎている自分に気づくようにと自然がくれるひとつのメッセージなのです。つまり、あなたが自分を制しなければ、母なる自然があなたを制する、ということです。西洋諸国に難治性の病気がより多くみられるようになったのは、裕福さと欲望に耽溺した結果といえるかもしれません。


アーユルヴェーダの説く人生の4つの目的

1.社会に対し自分の義務を果たすこと

[ダールマ]

2.義務を果たしながら財産を蓄えること

[アルタ]

3.財産の助けを借りて正当な欲望を成就させること

[カーマ]

4.人生には義務、財産、欲望以上のものがあると気づくこと

[モークシャ]


アーユルヴェーダの哲学は、強い免疫力をもつ人のみが健康であると信じています。アーユルヴェーダの医師たちは、免疫を神聖な母なる大地、ととらえています。この贈り物が、私たちを創造し、維持し、養い、外部からの侵略から守ってくれているのです。この免疫組織が強い限り病気で苦しむことはありません。古代のヴェーダの言葉で、免疫性とは「病気からの免除」という意味です。これは否定的な思考や生活様式こそが病気を生むという考えに基づいているものです。つまり私たちが理解できさえすれば、病気は、何かを変える必要性を教えるメッセージになるのです。このように考えると、強さとはいろいろな症状に対する私たちの思い込みを一変させることから生まれるものだとわかります。癒しは、自分が人々や事柄について抱えていた否定的な考えを取り消し、逆境をチャレンジとして見ることにより生じるのです。私たちは、病気をまたとないチャンスに変えることができるのです。スピリチャルな健康とは、強く固く統合した個人と、生存にまつわるあらゆる自然との大いなる調和を意味します。このことは、人が自然への借りを忘れずにいる時に可能なのです。


これをまとめると、健康は、自己や人格と、知性面、感情面、精神面、霊的存在に関わるすべての相関の結果であり、また、他人との好ましい関係、母なる自然への恩義、自己実現への気づき、人生の真の目的追求などの結果でもある、というのがアーユルヴェーダの哲学です。




『アーユルヴェーダとアロマテラピー 古代の英知と現代医学を統合したヒーリング・テクニック』ライト・ミラー&ブライアン・ミラー 共著

上馬場和夫 監訳

名雪いずみ/日高陵好/西川眞知子 訳

 -Ayurveda salon-

  Arunachala アルナチャラ

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