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アーユルヴェーダにおける生活を改善するための三つの方法


休息、食事、活動と三つのドーシャ

 日常生活は休息と食事と活動の三つによって構成されている。この三つがリズムにのって規則的に営まれているときには、三つのドーシャは日常生活のなかで自然に自分の居場所をこころえ、バランスを整えていく。すなわち、

 休息は、動きの質を持っているヴァータを整える働きがあり、

 食事は、代謝を受け持っているピッタを整える働きを持ち、

 活動は、不動の質を持ったカパを整える。

 ゆえに、

 ヴァータが乱れているときには、特に休息に注意をはらい、

 ピッタが乱れているときには、食事、アグニ(後述)の調整を考え、

 カパが乱れているときには、少し多めの活動(運動も)とアーマ(後述)に注意を向ける。

 

生活を改善するための三つの方法

生活を改善するための三つの具体的な方法は、

❶ドーシャ(Dosha)を整え、

❷アグニ(Agni)を高め、

❸アーマ(Ama)を取り除く、

ことである。

ドーシャについてはこれまで詳しく説明してきた。いうまでもなくもっとも大切なものである。

 アグニ(Agni)は「火」という意味で、消化の力をさす。食べた物を完全に消化して心身に必要な栄養素にして分解していく力である。ドーシャのバランスに次いで大切なのはこのアグニ(消化の力)を整えることである。多くの人はアグニが弱っているから、アグニを立て直すことが具体的な治療になる。アグニはピッタの活動に深く関与する。だから、ピッタが乱れた人はここに重点を置く。

 アーマ(Ama)とは、未消化物、体の中入ったが完全に消化されないまま残ってしまった食物である。アーユルヴェーダではこれは毒素になるとしている。アーマは重く、ねばねばした性質を持っているので一見カパの増悪と同じような症状をひき起こす。だから、カパの乱れを疑っている人はアーマについても注意を向けるべきである。

 医学の最新の知見では、細胞が老化して死んでいくのは細胞内に変色した繊維状の老廃物がたまって、それが細胞の活動を阻害するからだと言われている。たとえば、神経細胞が変性して死んでいくアルツハイマー病は老人斑という老廃物(アミロイド)が原因である。アーユルヴェーダではこういった有毒な老廃物で体外に排泄されずにいるものをまとめて「アーマ」と呼ぶ。アーマは体の中にはりめぐらされている細かい物質の流通経路(シュロータス Srotasという)をふさいで新陳代謝を阻害する。もう一つ例をあげれば、過剰なコレステロール(LDL)も代表的なアーマである。これは食物が完全に消化されないで体内に蓄積した物で、しだいに血管の壁に浸潤して血管をつまらせ、心筋梗塞や脳梗塞をひき起こす。

 日常生活のなかでプラクリティ(体質)を実現するためには、ドーシャとアグニを整え、アーマを取り去ることがもっとも効率的である。

 実際、アーユルヴェーダの臨床ではこの三つの要素を評価して、日常生活のアドバイスをすることが多い。



『アーユルヴェーダの知恵 蘇るインド伝承医学』

高橋和巳 著

 -Ayurveda salon-

  Arunachala アルナチャラ

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