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知的能力障害とは

「知的能力障害の診断基準(DSM-5)を以下に示します。


知的能力障害は、以下の3つの領域における

A.知的機能とB.適応機能の両面の欠陥です (「」はDSM-5からの引用)


①概念的領域の理解=学習能力=読み書き算盤=学業成績

「記憶・言語・読字・書字・数学的思考・実用的な知識の習得・問題解決・新規場面における判断についての能力」


②社会的領域の理解=他人の心理的理解、常識の理解、対人相互関係・社会関係などの理解

他者の思考、感情、及び体験を認識すること;共感;対人コミュニケーション技能;友情関係を築く能力;社会的な判断の能力」(下線は筆者)


③実用的領域の理解=身だしなみ・仕事・家事・手続きなどの能力

「セルフケア、仕事の責任、金銭管理、娯楽・行動の自己管理、学校と仕事の課題などの能力」



基準A -知的機能の欠陥

「臨床的判断および知能検査によって確かめられる、知的機能の欠陥」

 知的能力障害、境界知能はIQ検査の※参考値として、

知的能力レベル:IQ<70

境界知能レベル:70<IQ<85

※診断の際に参考にする値

基準B -適応機能の欠陥

「同じ年齢および社会文化的な背景を持つ人と比較して、個人的自立および社会的責任における集団の標準をどれだけ満たしているか」を判断する。すなわち、同年齢の人と比較して適応レベルにどのような「欠陥」があるかを評価する。



基準A -知的能力の欠陥:IQ値70以上になるとIQ検査の結果と社会への適応機能のレベルはあまり並行しなくなり、実際の診断・判断は、知的機能と社会への適応機能のレベルによってみる必要があります。この点をDSM-5では次のように記載しています。

「IQ検査得点は概念的な機能の概算値であるが、実生活の状況における論理的思考および実用的課題の習得度を評価するには不十分かも知れない。たとえば、IQ得点が70以上の人が社会的な判断、社会的な理解、および適応機能の他の領域において非常に重度の適応行動の問題をもつことがあるので、その人の実際の機能はIQ得点のより低い人と同等であるかもしれない。したがって、IQ検査の結果の解釈においては臨床的な判断が必要である」(DSM-5)

基準B -適応機能の欠陥

⇒脳機能障害による「不適応」=適応機能の障害の評価

⇒適応機能の障害は、社会の中で同年代と同等の適切な行動を取るために支援が必要かどうかで判断される




見立て8型のB軸基準:「脳機能障害(+)による不適応」を判定するためには、上記のうち、

②社会的領域の理解=他人の心理的理解、常識の理解、対人相互関係・社会関係などの理解領域を基準B -適応機能の欠陥から評価することが必要です。」



出典:『正しく理解されて、初めて心は動く 正しい見立てはカウンセリング・ケースワークの土台

HCMカウンセリングセミナー 講義テキスト 基本コース:<見立て8型>の基本を学ぶ』高橋和巳・野口洋一




A.知的機能とB.適応機能の欠陥という表現はいいものではありませんが、それらが全くないということではなく、それらの理解が乏しく「幼い」という点から社会生活を送るうえで様々なトラブルが生じやすく、また、本人の自覚がないまま犯罪に巻き込まれてしまうケースも多いそうです。

本人が倫理規範を十分に理解できずに、ルール違反を起こしてしまい、社会への「不適応」が起こってしまいます。そういった理由から社会生活において②社会的領域の理解は一番大事になってくると。


あたりまえのことですが、本人の性格や生育歴、現在の生活環境によって一人一人の個性があるためそのことも十分に理解しながら、支援者や家族、周りの人たちが適切な関わりやサポートをしていくことがとても大切です。



 -Ayurveda salon-

  Arunachala アルナチャラ

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